住環境を大きく左右する!知っておきたい「用途地域」

用途地域イメージ 家づくりメモ

十分な広さの土地があって、十分な予算があるのに、必ずしも思い描いていた家が建てられるとは限りません。建物を建てるにあたり、基準となる基本ルールを定めた法令があるからです。
建築に関する法令は多岐に渡り、全部理解することは難しいと思いますが、今回の「用途地域」は自分が住む環境に大きく影響しますので、ぜひ理解しておきたい内容です。

「用途地域」とは

「用途地域」とは、「都市計画法」に基づき、建築できる建物の用途や種類・形態を定めた地域のこと。
それぞれの地域にふさわしい建物を誘導することにより、無秩序な用途の混在を防ぎ、住環境を悪化させないことを目的としています。

例えば、一生の住処として憧れのマイホームを建てた数年後に、すぐ近くに大きな工場ができたとしたらどうでしょうか。工場から出る排気や騒音・安全性などにおいて、住みにくい環境になってしまいます。
そこで、住宅を建てることのみ許された地域、工場を建てることのみ許された地域、という用途別の地域をあらかじめ分けて定めておけば、このような問題は防ぐことができます。

「用途地域」は全部で13種類

用途地域には、住環境が優先される「住居系」が8地域、商業施設が立ち並ぶ「商業系」が2地域、工場の利便性を優先される「工業系」が3地域の、13種類に分けられています。
それまで用途地域は12種類でしたが、2018年の改正された都市計画法の施行に伴い、「田園住居地域」が住居系に追加されて、1995年以来23年ぶりに12種類から13種類と用途地域の数が変わりました。

住宅系(8地域)

1)第一種低層住居専用地域

低層住宅に良好な住居環境を保護する地域。
高さ制限などの様々な制限が設けられ、大きな建物が建てられないようになっています。
制限以内であれば、マンションやアパートも建設可能です。
店舗併用住宅や事務所併用住宅なども建設は可能ですが、非住宅の部分の面積の制限(50㎡以下)や業種による条件があり、限定的となります。
閑静な住宅街のイメージで、最も快適に居住できますが、外食や買い物にはちょっと不便に感じるかもしれません。
小中学校や診療所などは建てることができるので、教育や日常的な医療は安心です。

2)第二種低層住居専用地域

主に低層住宅に良好な住居環境を保護する地域。
第一種低層住居専用地域との違いは、一般の店舗や飲食店、コンビニなども建てられる点。
ただし、面積の制限(150㎡以下)があるので、大きな店舗等は建てることができません。
とはいえ、近くに店舗や飲食店があるので、ちょっとした外食や買い物には便利な住宅街です。

3)第一種中高層住居専用地域

中高層住宅に良好な住居環境を保護する地域。
少し高さのある住宅、マンション・アパート等も建てられ、病院や大学も建設可能です。
店舗や飲食店に関しても、第二種低層住居専用地域より条件が緩くなり、500㎡以下であればスーパーマーケットなども建設可能です。
外食や買い物にはより便利な地域となりますが、事務所などのオフィスビルは建てられません。

4)第二種中高層住居専用地域

主として中高層住宅に良好な住居環境を保護する地域。
第一種中高層住居専用地域の内容に加え、1500㎡までの店舗や飲食店・スーパーマーケット、オフィスビルなどの建設可能です。
住居環境を保ちながら、日常の外食や買い物する場もあり、また働く場もあるので、バランスのいい地域と言えます。

5)第一種住居地域

住居の環境を保護する地域。
3000㎡までの店舗・事務所に加え、ホテルや旅館、ボーリング場やスポーツ施設なども建てられます。
地域外からの人の出入りも多くなってきますので、特に子育て世帯にはちょっと治安面に気になる方もいるかもしれません。

6)第二種住居地域

主に住居環境を保護する地域。
10000㎡までの店舗・事務所・ホテル・旅館など中規模な建物が建てられます。
また、カラオケ店やパチンコ店、マージャン店などの遊興施設や環境影響の少ない小規模の工場も建設可能。居住するには騒音問題の懸念があるかもしれません。

7)準住居地域

道路の沿道を活かした地域の特性にふさわしい店舗や施設の立地と、これに調和した住居環境をを保護する地域。
具体的には、住環境を悪化させない自動車関連の小規模な車庫や工場、小さな劇場や映画館、倉庫などと、居住環境の調和させた地域で、住居系の地域では最も制限が緩い地域と言えます。

8)田園住居地域

住宅と農地が混在しながら調和し、良好な居住環境と営農環境を保護する地域。
田園住居地域では、第一種低層住居専用地域と同様な建物の制限があり、基本的に2階建て程度の高さの建物しか建てられません。
田園住居地域ならではの特徴として、500㎡以下の農産物直売所や農家レストラン、農産物・農薬の生産資材を貯蔵する倉庫、農産物を出荷や処理する工場など、農業に関連した施設・建物は建てられます。

商業系(2地域)

1)近隣商業地域

主に近隣住宅地の住民に日用品の供給を行うような商業を形成する地域。
準住居地域で可能な商業施設を含む、ほとんどの営業施設が建てられますが、風俗施設などは建てられません。
イメージとしては、地元の商店街でしょうか。
とても人の流れが活発な地域となるので、居住環境としては快適とは言い切れない地域です。

2)商業地域

主として商業などの利便を増進するため定めた地域。
都心部や繁華街のような百貨店や映画館、あらゆる飲食店や店舗、銀行やオフィスビルなどで形成された地域で、風俗施設なども建設可能。
居住環境としては、住宅より高層マンションなどが主となるが、様々な刺激の多いので、子供への悪影響が懸念される地域と言えます。

工業系(3地域)

1)準工業地域

主として環境の悪化の恐れの無い工業の利便を図る地域。
規模についての制限はないが、軽工業の工場など、火災や振動・騒音、衛生・健康上に有害な排気などの危険性があまりない、と判断される工場を建てることができます。
居住用の建物や店舗施設などと混在する町工場が建つ地域のイメージです。

2)工業地域

主として工業の利便を図る地域。
どのような工場でも建設可能ですが、住宅や店舗も建てることができます。
ホテルや劇場・映画館、学校、病院などは建てることができません。
環境を悪化させる恐れのある工業の工場も建設可能なため、居住環境としてはお勧めできません。

3)工業専用地域

工業の利便を図る地域。
どのような工場でも建設可能。
工業地域との違いは、住宅や店舗も建てられないということで、13種類の用途地域の中で、唯一住宅が建てられない地域です。

「用途地域」の調べ方

自分が住みたいと考えている土地の用途地域は、行政省庁のホームページで調べることができます。

例えば、「名古屋市 用途地域」で検索すると「名古屋市都市計画情報提供サービス」というホームページを見つけることができます。(http://www.tokei-gis.city.nagoya.jp/)

上記ページ内の「都市計画情報」より、用途地域を調べることができます。

まとめ

工業専用地域以外は、どこでも住宅を建てることはできます。
しかし、用途によって住みやすさや環境は大きく違います。
今は低層住宅ばかりの地域でも、その地域が低層住宅専用地域でなければ、今後、すぐそばに大きなマンションが建ち、日が当たらなくなるかもしれません。
3階建て住宅を希望されている場合にも、低層住宅専用地域のため、高さ制限で建てられないということもあるかもしれません。
住みたい土地があったら、必ず用途地域を確認しましょう!

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